アフリカの風との会話〜
20年以上前、アフリカのザンビアという国に住んでいました。
四方をケニア、タンザニア、マラウイ、ジンバブエなどに囲まれた内陸の国。
広大なサバンナが広がる自然豊かな素朴な国。
首都ルサカから1000キロ以上離れたチパタという地方都市にいました。
地方都市といっても舗装されてない赤土の道路に南アフリカ資本のスーパーが一軒あるだけの田舎の街。
そこから更に300キロほど離れたルンダジという町を拠点に活動していました。
そこはガソリンスタンドと小さな売店が併設されたものと、赤土でできた昔の城を改装したホテルがあるだけ。シャワーもトイレもない部屋(外に共同トイレ1個)。高い天井近くにある小窓も割れていて、そこから月明かりが綺麗に見えていました。
ホテルから同僚のザンビア人の運転するランドクルザーで、村を巡回し、マラリア対策の啓蒙活動を行っていました。演劇を通しての啓蒙。
地元の劇団による寸劇が見事で、男優演じるアフリカ独特の肝っ玉お母さんなんか、もうそっくりで皆んな笑い転げていました。
そんな村とホテルを往復する日々でした。
大きな木下で椅子を円陣に並べて観劇中、なんとも言えない心地良い風が抜けていく。そんなある日、風が優しく私の頬を撫でるように通り抜けていく時に「大丈夫だよ。」と囁いた。最初は空耳かと思ったが、また「大丈夫だよ。」と聴こえた。
過酷な生活の中、とうとう幻聴が聞こえ出したのかと思ったが、あくる日も翌る日もワークショップの間、「大丈夫だよ」「大丈夫だよ」と聴こえた。
そして、いつしかそれが心地良くなり、それに応えていると「もう少し頑張ってみよう」「明日もう一度考えよう」と会話が自然なこととなっていった。
そんな風との会話が始まり、それが空、太陽、植物、虫、象…と広がって行った。
アフリカで始まったアニマルコミュニケーション。
これが私の原点。